櫻茶屋 (サクラジャヤ)
居心地のよい開放的な空間
重厚感のあるレンガ造りの壁と、開放的な高い天井が印象的な櫻茶屋さん。2階にはギャラリーもあり、昼夜を問わず多くのお客さんでにぎわう。開店当初から自家焙煎で、こだわりの「櫻ブレンド」は深煎りでしっかりした味わい。豪華な二段重に詰められた「平日ランチセット¥850」も美味しいと評判だが、それもそのはず、もとは「まだむ吉田」という名でお弁当の製造販売をしていたのだ。官公庁はもとより一般企業にもよく利用されていた。
「櫻茶屋」の前身「まだむ吉田」
もともと北沖洲の「有限会社 吉田海産」で経理を担当していた吉田千枝子さん(オーナー、昭和26年生まれ)が、平成2年、冷凍ものを使用しない手作りのお弁当を提供したいと社内に厨房を造り、「まだむ吉田」を立ち上げた。
「有限会社 吉田海産」は乾物の卸問屋であったが、その片手間でできるような小さいものではなく、初めから規模の大きい厨房にしたという。そして、弁当ひとつが300円や400円が相場の時代に、600円ぐらいの弁当を提供していた。金額は他店より少し高めであったが、「開けた時にアッという楽しみがあるようなお弁当がしたかった」と言うように、斬新な弁当容器、手作りにこだわったおいしいメニューが評判となり、いつの間にか一日平均300~400食、多い時で700食ぐらい出るようになる。配達用の車も増やし、多忙を極めたが、時間に追われ、メニューも同じようなものになっていくことに面白味を感じなくなっていた。元来、人を喜ばせること、感動してもらうことが好きな千枝子さんは、次はゆったりと美味しい料理とコーヒーを提供できる喫茶店をと、平成8年12月、「櫻茶屋」をオープンさせる。店名は「横文字が嫌だったのと、言いやすく、記憶に残るようなものにしたい」との思いから。「今振り返ると、『40歳までにお弁当、50歳までに「櫻茶屋」、60歳までにギャラリー』と、10年ごとの区切りで目標を達成して来られた。常に“どこまでやれるか、もっともっと”という思いでやってきた。」と千枝子さん。今後にもぜひ注目したい。
※写真は「まだむ吉田」時代のコンテナ。当時はこの中にお弁当を入れて配達していたが、現在はコーヒーの生豆入れとして使っている。