[ 徳島市八百屋町 ]

たかしまコーヒー店 (タカシマ)

店内250

“ホットサンドが美味しい店”として昔から有名な「たかしまコーヒー店」。サンドの他、トーストやバーガーなどそのパンメニューの豊富さは圧巻。鉄板で焼くそれらはすべて、美味しいものを追求して辿り着いた味。
そのこだわりは、何気なく飲んでいるコーヒーにも表れる。創業時から変わらずネルドリップ。「手間を惜しんでたら商売はできん。ネルで濾すのが豆に対して一番自然。今はネルドリップ用のネルを売っているが、当時は自分で作っていた。コーヒー豆も昔は干して乾燥させて1年置いてた。そしたら硬くて色艶のいい豆ができる」とマスター。コーヒーの味にも今一度注目したい。

改装前の店舗の絵

たかしまコーヒー店(改装前)を描いた絵

高島 元(はじめ・昭和10年生まれ)氏が、現在の場所に4坪の店舗を借りて「たかしまコーヒー店」を始めたのは昭和33年。それ以前にも少しの間、両国橋の飲み屋街でも小さい店をしていたが、その時に現在の場所が空いてると聞いて喫茶店を始めることになる。当時は東新町が市の中心であり繁華街であったため、知り合いからは「よう、あんな端の方に(店を)したな。」と言われたこともあったという。自分で喫茶の勉強をし、その頃近所で繁盛していた「サントス」さんと同じく、高島さんもコーヒー1杯30円からスタートした。コーヒー豆は老舗「徳島ブラジルコーヒ店」から購入。「ブラジルさんとは初代からのつきあい。やっぱり、いい仕事をしてくれるけんなぁ。」

創業当時、ミルクは小松島の農家から直接購入し、そのうわずみを使っていたが禁止となり、以降「徳島ブラジルコーヒ店」 が扱っていた、エバミルクの同等品で「フジミルク」というのがあり、(高島さん曰く、これがまぁまぁよかった。)使っていたが、ほどなくして製造をやめてしまった。


店の真ん中にド~ンと置かれている木のテーブルにも、マスターの人となりを感じることができる。
現在の店を改装する前、ツアーで行ったイタリアで、このテーブルと椅子を購入する。ツアー中にもかかわらず、本に載っていた電話番号だけをたよりに、一人で汽車に乗ってベニスへ。そしてこの1枚板のテーブルに出会う。一緒に皮の椅子も気に入って購入しようとしたところ、その家具職人は「この椅子にするならこのテーブルは売らない。皮はこのテーブルには合わない、皮の半値のこの椅子にしろ」と言う。結局その半値の椅子とセットで購入した。椅子は気に入るまで何度もやりかえたそう。
テーブルと椅子は、ジェノバから月1回出る船に乗せられてやって来た。「大きくて、とにかく大変だった」と奥さんが言うこのテーブルは、4坪しかなかった当時の店には入らず、しばらく人に預かってもらっていたが、ほどなくして娘さんが始めた店にはピッタリ収まった。翌年、4坪だった店舗を買い取り、改装して広くした時、店の中央に据えられた。以来店のシンボルとして圧倒的な存在感を放っている。

外観

外観

たかしまコーヒー店店内テーブル

イタリアに赴き購入した1枚板のテーブル

日替わりランチ

日替わりランチ ¥800

店舗のあゆみ

創業者 高島 元

1958年(昭和33年) 現在の場所に4坪の店舗を借りて「たかしまコーヒー店」として開店。
1994年(平成 6年) イタリアへ行き、テーブルと椅子を購入。
1996年(平成 8年) 娘さんが八百屋町(現在の大同生命徳島ビル)の場所で2店舗目の店を始める。(3年ほど)
1997年(平成 9年) 4坪だった店舗を買い取り、改装して広くする。